社会人になって数年が経つと、ふと気づく瞬間がある。

「あれ、最近何も変わっていないな」と。

仕事が嫌いなわけじゃない。人間関係が最悪なわけでもない。怒られてばかりの新人時代を抜けて、ようやく仕事も回るようになってきた。客観的に見れば「順調」なはずだ。

なのに、どこかに「停滞感」がある。

この記事は、そのモヤモヤを感じているあなたに向けて書いた。私自身がそうだったから。そして、そこから少しだけ動き出して、気づいたことがあったから。


停滞感が一番しんどいのは、「原因がわからない」から

忙しくてしんどい、は戦いやすい。敵が見えているから。

「停滞感」は違う。何がしんどいのか、自分でもよくわからないのだ。

20代後半になると、周りの変化がやけに目に入るようになる。

同期が転職して「年収100万上がった」と言っている。大学の友人が結婚して、Instagramに幸せそうな写真を載せている。チームの先輩が昇進して、急に偉くなった気がする。

別に嫉妬しているわけじゃない……たぶん。ただ、それを見るたびに「自分はどうなんだろう」という問いが頭をよぎる。

自分は、前に進んでいるのだろうか。

この問いに答えられないまま、また月曜日がやってくる。


停滞感の正体——それは「成長の見えにくさ」かもしれない

少し立ち止まって考えてみると、気づくことがある。

新人の頃は、成長が「見えやすかった」。

昨日できなかった作業が今日できた。わからなかった専門用語が理解できた。先輩に頼っていた仕事を、一人でこなせるようになった。毎週のように「できること」が増えていく実感があった。

ところが数年経つと、その感覚が薄れてくる。

仕事は回っている。ミスも減った。でも「成長している」という感覚が、なぜかない。それは怠けているからじゃなく、成長のスピードと「見える化」がズレてくる時期だからだと思う。

木が根を張るように、見えないところでは確実に変化しているのに、地上には何も出てこない。そういう時期が、人間にもある。

停滞感を感じているあなたは、怠けているんじゃない。次のステージに向けて根を張っている最中かもしれない。

……とはいえ、そんな言葉だけで気持ちが楽になるほど、人間は単純じゃない。私もそうだった。

だから、動いてみることにした。


私がやってみた5つのこと

大きなことじゃなくていい。そう思いながら、いくつか始めてみた。

1. ブログを始めた

このサイト「LIVE-PICK」がそれだ。

ITエンジニアとして仕事をしているから、技術ブログを書くのが「王道」なのだろう。でも、それじゃなかった。

仕事以外の自分の興味——お金・ガジェット・暮らし・健康——について書ける場所が欲しかった。会社の外に「自分の場所」を作りたかった。

最初の記事を書いた日のことを覚えている。たいして読まれなかったし、クオリティも高くなかった。それでも、「自分が作ったものがインターネットにある」という感覚は、不思議と自信みたいなものをくれた。

2. 本職と関係ない資格の勉強を始めた

簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)の勉強を始めた。

ITエンジニアが、なぜ簿記とFPなのか。正直、最初は自分でも「なんで?」と思っていた。でも理由は一つ、違う視点が欲しかったからだ。

エンジニアとして仕事をしていると、どうしても「技術」の文脈でものを考えてしまう。でも世界はそれだけじゃない。お金の流れ、資産の考え方、税金の仕組み——これらを知ることで、同じ景色がまったく違って見えてくる。

たとえばFPの勉強をしながら、会社の給料明細の意味がはじめてわかった。控除の仕組み、社会保険の構造、iDeCoやNISAの税制優遇。「なんとなく引かれていたもの」に名前と意味がついた瞬間の、あの感覚は面白かった。

視野を広げることは、自分の軸を強くしてくれる。

3. 昔やっていた楽器演奏を再開した

学生時代にバンドをやっていた。社会人になってからはすっかり遠ざかっていたけれど、あるとき押し入れの奥からギターを引っ張り出した。

ひどいものだった。指は動かない、コードは忘れている、すぐ指が痛くなる。

それでも、弾いているうちに何かが緩んだ気がした。仕事の成果や評価とは無関係に、ただ音を出す時間。うまくなくていい、誰にも見せなくていい、ただ自分のために弾く時間。

停滞感って、実は「会社の評価軸でしか自分を測れなくなっている」ことから来ているのかもしれない、とそのとき思った。

4. 新しい趣味としてボードゲームを始めた

きっかけは友人に誘われたことだった。最初は「カタン」を教えてもらい、気づけばいろんなゲームを調べては集めるようになっていた。

ボードゲームの面白さは、「対面で誰かと遊ぶ」ことにある。スマホを置いて、テーブルを囲んで、作戦を考えて、笑い合う。

副次的な効果として、それまで接点が薄かった人と仲良くなれた。会社の外に「一緒に何かをする仲間」ができた感覚は、停滞した日常に小さな風穴を開けてくれた。

5. キャリアの棚卸しをした

これが一番、自分の中で大きかった。

「今まで何をやってきたか」を、ノートに書き出してみた。担当したプロジェクト、身につけたスキル、乗り越えてきた壁、フィードバックされたこと、自分なりに工夫したこと……。

書いていくうちに、あることに気づいた。

「停滞していたつもりが、全然停滞していなかった」。

日々の仕事に追われていると、過去の積み上げが見えなくなる。でも客観的に並べてみると、ちゃんと前に進んでいた。できることが増えていた。視点が変わっていた。

停滞感の一部は、「見えていなかっただけ」だったのだ。


動き出してわかったこと

5つのことを試してみて、気づいたことがある。

停滞感は、「動いていない」から生まれるんじゃない。「動きを感じられていない」から生まれる。

何か新しいことを始めると、「今日の自分は昨日の自分と少し違う」という感覚が戻ってくる。それだけで、不思議と停滞感が薄れていった。

大きな一歩じゃなくていい。転職しなくていい。結婚しなくていい。昇進しなくていい。

ちょっと新しいことを始める。それだけで、止まっていた時計が動き出す。


最後に——停滞感を感じているあなたへ

周りが変化していく中で、自分だけ取り残されているような気がすることがある。SNSを開くたびにざわつく気持ちは、弱さじゃない。それは「もっとよくなりたい」という欲求のサインだと、今は思っている。

停滞感は、成長の休憩所だ。

そこで「自分はダメだ」と消耗するより、「何かひとつ、動いてみよう」と思えたら——きっと景色は変わる。

少なくとも、私はそうだった。


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