⚠️ 免責事項:本記事は情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。税制は改正されることがあり、控除額や適用可否はご自身の状況によって異なります。実際の判断は勤務先の担当部署・税務署・税理士など専門家にご確認ください。
毎年10〜11月頃に会社から配られる年末調整の書類。「よく分からないまま名前を書いて出している」という人は少なくありません。しかし年末調整は、会社員が使える数少ない節税手続きです。書き漏らせば、本来戻るはずのお金がそのまま消えます。
しかも2026年分は税制改正の適用初年度にあたります。書類が配られる前のいま、仕組みを整理しておきましょう。
この記事でわかること:
- 2026年分の年末調整で変わる点
- 年末調整でできる控除の一覧
- 3種類の書類それぞれの役割
- 申告漏れしやすい項目と、確定申告が必要なケース
2026年分の年末調整はここが変わる
2026年(令和8年)の税制改正により、基礎控除と給与所得控除が引き上げられます。重要なのは反映のタイミングです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得2,350万円以下の人は4万円引き上げ(62万円) |
| 給与所得控除 | 最低保障額を65万円 → 69万円に引き上げ |
| 反映時期 | 2026年12月に行う年末調整から |
| 毎月の給与 | 11月までの源泉徴収は従来どおり(変更なし) |
つまり、毎月の手取りは変わらないまま、12月の年末調整でまとめて調整される形になります。年末調整で戻る金額が例年と違っても、慌てる必要はありません。
なお、住民税の基礎控除は据え置きのため、所得税と住民税で控除額が異なる点にも注意が必要です。控除額の詳細や自分への適用可否は、勤務先の案内や国税庁の資料で最新情報を確認してください。
そもそも年末調整とは
会社は毎月の給与から所得税を概算で天引きしています。しかし、この概算には各種控除が反映されていません。
そこで年末に、1年間の正確な所得と控除を計算し、払いすぎていれば還付、不足していれば追加徴収を行う——これが年末調整です。多くの人は還付(お金が戻る)になります。
確定申告との違い
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 誰がやる | 会社が代行 | 自分で行う |
| 時期 | 11〜12月 | 翌年2月16日〜3月15日 |
| 対象 | 給与所得と一部の控除 | すべての所得と控除 |
年末調整で処理できない控除は、自分で確定申告する必要があります。この線引きが最も重要なポイントです。
年末調整でできる控除・できない控除
年末調整でできる主な控除
- 生命保険料控除:生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料
- 地震保険料控除:地震保険の保険料
- 社会保険料控除:健康保険・年金(給与天引き分は自動、自分で払った分は申告が必要)
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金はここ
- 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者の所得に応じて
- 扶養控除:扶養親族がいる場合
- 住宅ローン控除:2年目以降は年末調整で処理可能
iDeCoに加入している人は、掛金証明書を添付して申告することで所得控除を受けられます。仕組みはiDeCo始め方5ステップで解説しています。
年末調整ではできない(確定申告が必要な)控除
- 医療費控除:年間の医療費が一定額を超えた場合
- 寄附金控除:ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合
- 雑損控除:災害や盗難による損害
- 住宅ローン控除の1年目:初年度のみ確定申告が必要
医療費控除は年末調整では処理できないため、別途申告が必要です。対象になる費用の範囲は医療費控除はいくらから?にまとめています。
ふるさと納税は、ワンストップ特例を使えば確定申告は不要です。ただし医療費控除などで確定申告をすると特例が無効になるため、寄附分も申告書に含める必要があります(ふるさと納税の始め方)。ワンストップ特例の申請書には1月10日必着という期限があり、2026年分はこの日が日曜日で普通郵便が届きません。年内に投函し終える必要があります(ふるさと納税はいつまで?年内の締切とワンストップ特例の期限)。
配られる3種類の書類
会社から渡される書類は、役割が異なります。
1. 扶養控除等(異動)申告書
全員が提出する基本書類です。扶養している家族の情報を記載します。翌年分をあわせて提出することも多く、その場合は「来年の見込み」を書きます。家族構成に変化があった場合は必ず反映させてください。
2. 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
名前が長いですが、要は自分と配偶者の所得を申告する書類です。自分の年収見込み額を記入する欄があるため、給与明細や前年の源泉徴収票を参考にします。
3. 保険料控除申告書
生命保険・地震保険・社会保険(自分で払った分)・iDeCoの掛金を記載します。保険会社などから届く控除証明書の添付が必須です。
申告漏れしやすい項目
年末調整で見落とされやすいものを挙げます。該当するのに書かなければ、そのぶん税金を多く払うことになります。
- 自分で払った国民年金保険料:家族(子どもなど)の分を代わりに払った場合も、支払った人の控除になります
- 学生の子どもの国民年金:20歳以上の学生の年金を親が払っているケースは要チェック
- iDeCoの掛金:加入していれば必ず申告
- 年の途中で加入した保険:新しく契約した保険の証明書を出し忘れやすい
- 配偶者のパート収入の見込み違い:想定より収入が増減すると控除額が変わります
証明書は9〜11月に届く
生命保険料控除証明書や iDeCo の掛金払込証明書は、10月前後に郵送で届くことが多い書類です。「重要書類」として保管しておかないと、提出時期に見当たらず慌てることになります。届いたらまとめて1か所に入れておきましょう。
年末調整をしても確定申告が必要な人
以下に当てはまる場合は、年末調整とは別に確定申告が必要です。
- 医療費控除・寄附金控除(ワンストップ特例を使わない場合)を受ける
- 副業の所得が年20万円を超える
- 給与収入が2,000万円を超える
- 2か所以上から給与を受けている
- 住宅ローン控除の1年目
副業をしている人の判定基準は誤解が多い部分です。詳しくは副業の確定申告はいくらから?で解説しています。
いまからできる準備(3つ)
書類が配られる前に、以下を済ませておくと当日が楽になります。
- 控除証明書を保管する封筒を用意する:9月以降に届く証明書をまとめておく
- 今年払った保険料・年金を確認する:年の途中で契約・変更したものがないか
- 家族構成の変化を整理する:結婚・出産・扶養から外れたなどの異動を書き出しておく
年末調整で戻ったお金は、そのまま使い切らず一部を将来に回すと効果的です。振り分けの考え方は固定費削減7つの方法やNISA口座の選び方と始め方も参考になります。
まとめ
- 2026年分は税制改正の適用初年度。基礎控除・給与所得控除の引き上げは12月の年末調整から反映される
- 毎月の手取りは11月まで従来どおりで、年末調整でまとめて調整される
- iDeCo・生命保険・住宅ローン控除(2年目以降)は年末調整で処理できる
- 医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ未使用)・住宅ローン1年目は確定申告が必要
- 家族の国民年金を代わりに払った分など、申告漏れしやすい項目を先に洗い出しておく